医療ツーリズム

 東日本大震災は自治体や医療機関、企業による医療ツーリズムの取り組みにも打撃を与えたが、ここへきて復調の兆しも見え始めている。北海道内の医療観光会社が企画している健診ツアーには、7月に中国人5人が震災後初めて参加する見通しで、関係者は本格的な観光回復に期待を寄せている。
■「震災の影響大きい」
 医療ツーリズムは、健診や治療などの医療と観光ツアーを組み合わせたサービス。政府が2009年末に閣議決定した新成長戦略の中で、アジアの富裕層をターゲットにした医療ツーリズムの推進を掲げると、自治体や医療界、旅行業界の関係者らが一斉に注目し始めた。

 自治体としていち早く医療ツーリズムの推進に乗り出したのが徳島県だ。昨年3月には、中国人向け医療ツーリズムのモニターツアーを開催。大学病院での糖尿病検診と県内の観光スポット巡りを組み合わせたツアーが話題を呼び、昨年には中国などから22人が検診を受けた。しかし、震災発生直後からは参加者が途絶えたままだ。県の担当者は「震災の影響は大きい」と話す。

 日本政府観光局の調べでは、日本を訪れる外国人観光客の数は、今年1、2月には前年同月からそれぞれ11.5%増(暫定値)、2.2%増(推計値)とほぼ順調に推移していた。ところが、震災以降は状況が一変。3月の推計値は50.1%減と一気にダウンし=グラフ=、4月には過去最大の62.5%減となった。同局では、原発事故の状況が全世界に刻々と報じられた影響が大きいとみている。

■健診ツアーに中国人5人参加へ
 しかし、ここへきて明るい兆しも表れている。震災から3か月が経過し、徳島県にはツアーへの問い合わせが少しずつ入り始めている。6月には、中国の邵●偉・国家旅遊局長(観光大臣、●は王へんに其)が西日本を訪問した。「こうした動きが観光の回復につながれば」と県の担当者は期待を寄せる。

 メディカルツーリズム北海道(札幌市)では、道内の医療機関と提携し、中国人やロシア人富裕層向けの健診ツアーの提供を昨年10月から始めた。同社でも、震災前に入っていた10件前後の予約がすべてキャンセルされ、ツアー参加者は6月まで途絶えている。坂上勝也社長は「中国国内で日本への渡航自粛が呼び掛けられた影響で、本人が来日したくても周囲に止められるケースが多い」と話す。

 しかし、日本への渡航自粛勧告はその後解除され、7月には中国人5人が震災後初めてツアーに参加する見通しだ。参加者は道内の医療機関で健診を受けた後、関西地方の観光スポットを回る予定という。

■「原発事故の正確な情報公開を」
 恵寿総合病院(石川県七尾市)では、経済産業省の「国際メディカルツーリズム調査事業」に参加し、中国人の健診受診者を昨年から受け入れている。同病院でも、震災以降に途絶えていた海外からの問い合わせが最近、入るようになった。今夏には、県の事業の一環として、中国国内の中規模都市でのプロモーション活動を開始。現地の提携病院も探すという。

 福島第1原発の事故では、東京電力や政府による情報開示の遅れが批判を浴びている。同病院を運営する社会医療法人財団董仙会の神野正博理事長は、「引き続き医療ツーリズムを推進するには、政治の安定と原発事故の正確な情報公開が不可欠」と話している。

  • 医療ツーリズム:前向きは1割、課題を指摘も 県が病院に調査 /静岡

     県は、人間ドックなどの健診を目的に来日する外国人の受け入れについて、県内の病院に行ったアンケートの結果を発表した。受け入れについて前向きに検討している病院は1割にすぎず、課題を指摘する意見が目立った。
     調査は、県内で海外からの患者に日本の医療技術を提供する「医療ツーリズム」が実施可能か検討するため、10年10月~11年3月に行われた。県内の全186病院にアンケートを郵送し、82.3%にあたる153病院が回答した。
     「来日外国人受け入れの実施状況」は、「一部の科目で実施」が3病院(2.0%)▽「将来の実施に向け検討中」が9病院(5.9%)▽「実施するかどうか分からない」が23病院(15.0%)▽「予定していない」が42病院(27.5%)--だった。また「健診そのものを実施していない・不明」と回答した病院は約半数の76病院(49.6%)に上った。
     自由記述や県が直接聞き取った関係者の話からは「健診の閑散期と中国の旧正月(2月上旬ごろ)が重なるため、施設の有効利用ができる」「高額医療機器が活用できる」など期待する意見があった。一方で、「言葉が通じるかどうか不安」「治療の必要が生じた場合、現地病院との連携がとれるか不明」「受診費用の確実な回収ができるのか」などの問題点も指摘された。
     また「医師不足のなか、地域医療へ悪影響がある」など、受け入れは困難だとする意見も目立ったという。
     県観光振興課は「これからの展開を考える上で参考にしたい」と話している。【平林由梨】毎日jp 毎日新聞 2011年4月10日 地方版

  • 医療観光で華人誘客探る 豊見城2011年3月23日 09時14分

    「豊見城」医療ツーリズムと中華圏ビジネスの可能性を探る市国際ビジネスサポートフォーラム(主催・市、市商工会)が19日、市内の忠孝酒造「くぅーすの杜(もり)忠孝蔵」で開かれた。国のふるさと雇用再生特別基金を活用した市の国際ビジネスサポート事業の一環。50人余りの市民らが参加、医療ツーリズムの将来性や課題について、検討を深めた。
     第1部は基調報告として、「中国からの医療ツーリズムと沖縄への期待」と題し、日中両国の医師免許を持つ獨協医科大学越谷病院医師の史常徳(スー・ジョウトク)氏が講演。沖縄の優位性として中国の大都市と近いことや美しい自然、世界の先進的医療があること、中国との500年に及ぶ交流などを挙げた。一方で、入国ビザの申請が煩雑であることや文化習慣のギャップ、多言語での表記や交通手段が少ないなどを課題とした。
     その上で、中国での沖縄の認知度を上げることや外国人向けの表記、交通手段や娯楽施設の確保など、「医療と観光が並立、もしくは観光が先んじて後に医療が続いてもいい」と提起した。
     第2部では、コーディネーターをOKINAWA型産業振興プロジェクト推進ネットワークの洲鎌孝氏が務め、パネルディスカッション。パネリストに玉城清酬(せいしゅう)Tripod社長、張險峰(チョウ・ケンポウ)日本沖縄華僑華人商工連合会長、林斯旺(リン・シオウ)沖縄長生薬草本社統括本部長、長嶺直豊見城市企画部商工観光課長が出席。
     張氏は市にガイドや通訳などの人材育成の必要性を訴え、「沖縄はすべての産業を観光に結びつける発想が必要」と指摘。林氏は市の中国や台湾など海外との姉妹都市の締結の必要性を指摘。さらに「中国の富裕層は年に二回ほど健康診断を受ける。信頼すれば、データを比較するために同じ医療機関に任せる傾向にある」とし、医療ツーリズムの可能性を示唆した。

  • 海外からの医療観光、9医療機関が受け入れ 徳島県が発表(2011年3月9日)

 徳島県は、中国人観光客を中心にした医療観光で、健康診断や病気の検査を受け入れる9医療機関を発表した。これまでの医療メニューは糖尿病の検診のみで、受け入れ先は徳島大学病院だけだった。今後、ほかの検査も受けられるプランを設け、利用者を増やすことがねらいという。

 7日にあった県の医療観光推進に関する会議で報告された。新たな受け入れ先は、近藤内科病院▽総合健診センター▽小浜内科徳島クリニック▽伊月健診クリニック▽中洲八木病院▽水の都脳神経外科病院(以上徳島市)▽鳴門病院(鳴門市)▽ホウエツ病院(美馬市)▽三野病院(三好市)の9機関。それぞれ通常の健診ができるほか、がんの検診や脳のMRI検査といった得意分野がある。今後、県が国内外の旅行会社にPRし、これらを利用するツアーを設定してもらう。

 県医療健康総局によると、中国の病院でも健診や病気の検査を受けられるが、日本のように医師の丁寧な説明はない上に、日本の医療水準への信頼もあるとみて、需要があると見込んでいる。

 県の医療観光では、これまでに徳島大学病院が糖尿病検診で16人を受け入れ、川島病院も、試験的に4人を受け入れた実績がある。

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