医療機関の職員に対する麻疹対策は

Q5-[1]:医療機関の職員に対する麻疹対策はどのようにすればよいでしょうか?

 麻疹が流行している、あるいは麻疹患者が来院してからとる対策も大切ですが、平常時から対策を取っておけば、そのようなときの対応が格段に楽になります。もっとも大切なことは、すべての職員の麻疹罹患歴と麻疹ワクチン接種歴を把握しておくことで、雇用時などにそれらの情報を入手しておきます。ただし、職員の記憶があいまいな場合や、ワクチン接種後の抗体価の低下によって麻疹に罹患するリスクをもつ人もありますので、理想的には雇用時あるいは雇用前、あるいは健康診断時などに麻疹含有ワクチン2回接種の記録の確認、あるいはB型肝炎の抗体検査と共に麻疹抗体価の検査を行なうことがすすめられます。
 麻疹未罹患かつワクチン未接種あるいは1回接種、または、麻疹抗体価検査により抗体陰性または抗体価が低いと判断された場合は、任意となりますがワクチン接種を勧めると良いでしょう。医学的な理由等により接種できない場合には、その内容を健康記録として留め、麻疹を疑う患者あるいは麻疹患者との接触を避けるよう勤務態勢を構築しておくとよいでしょう。
 詳細については、「日本環境感染学会 院内感染対策としてのワクチンガイドライン第1版:日本環境感染学会ワクチン接種プログラム作成委員会」
http://www.kankyokansen.org/other/vacguide.pdf)
および「医療機関での麻疹の対応ガイドライン 第二版」
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/guideline/hospital_ver2.pdf
をご覧下さい。

Q5-[2]:麻疹疑いの患者が外来に来ました(来ます)。どう対応すればよいですか?

 患者がこれから外来を受診する場合は、他の患者とスペースを共にしないよう、別室へ誘導します。すでに来院してしまった場合は、できるだけ速やかにそのような別室へ誘導します。またその患者は出来るだけ早く診察をするよう配慮する必要があります。
 患者の対応にあたるスタッフは、麻疹抗体価検査によりすでに抗体陽性が確認されているか、麻疹に罹患したことが確実なもの、麻疹含有ワクチンの接種歴が2回記録で確認されている者に限定します。
 麻疹は空気感染する疾患ですので、免疫がないスタッフが対応する場合には本人の防護のためにN95マスクあるいはそれ以上の性能のものを着用すべきです。麻疹に対する免疫があることが確実なスタッフは特に防護はなくとも対応可能ですが、他の疾患の可能性もありますので、サージカルマスクの着用が推奨されます。
 麻疹疑いの患者に対しては、麻疹の罹患に関する臨床的評価とウイルス学的診断のための検査(麻疹ウイルスゲノムの検出、麻疹ウイルスの分離、麻疹特異的IgM抗体の確認、ペア血清で麻疹特異的IgG抗体の陽転あるいは有意上昇の確認など)を行ないます。
 臨床的に麻疹と診断した患者(Q2-[4]参照)に関しては、地方衛生研究所あるいは国立感染症研究所で、RT-PCR法あるいはリアルタイムPCR法等による麻疹ウイルス遺伝子の検出、あるいは麻疹ウイルスの分離による検査診断が可能です。ウイルス検査のための検体を採取するスタッフは、手袋と防護用のマスクを着用した上で、民間の検査機関等での麻疹特異的IgM抗体の確認、ペア血清での麻疹特異的IgG抗体の測定を実施していただくとともに、血液(EDTA血あるいはクエン酸血)、尿、咽頭ぬぐい液(ウイルス搬送用培地セットが保健所にあります。緊急の場合は、検体が乾燥しないように生理食塩水にひたして送付してください)のうち2点以上(できれば3点セット)を、管轄の保健所を通じて地方衛生研究所あるいは国立感染症研究所へ搬送してください。
麻疹罹患歴が確認できていないスタッフあるいは、麻疹抗体陽性が確認できていないスタッフが、麻疹患者と接してしまった場合の対応は、
Q5-[4]および「医療機関での麻疹の対応ガイドライン 第二版」
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/guideline/hospital_ver2.pdf
をご覧下さい。