熱中症

無理な節電で、熱中症に注意を!

参考誌:日本医師会雑誌特別号より

熱中症は暑さや熱による生体障害の総称です。下の表は熱中症の重症度による分類です。
高温や高湿の環境下で起こる全身の熱障害を熱中症といい、症状により熱痙攣、熱疲労、体温調節機能障害を伴う熱射病に分けられます。
梅雨が明け、急に高温の日が続く時は危険信号です。無理な節電にはご注意ください!

日射病熱痙攣熱疲労熱射病
発生機序と病態炎天下の会合や運動で相対的循環血液量の減少Na欠乏性脱水高度の脱水,
うつ熱,
電解質異常,
体温調節機能残存
体温調節機能障害
(発症経過は長い),
若年者では高温(40℃),
環境下短時間の運動でも発症,
高度の脱水・多臓器不全
体温38℃以下38℃以下40℃以下40℃以上
中枢神経系頭痛,疲労感,めまい,興奮,
意識障害(軽度)
精神症状,昏睡,痙攣,巣症状
皮膚発汗あり,
湿潤
蒼白,発汗あり蒼白,発汗あり紅潮,乾燥,高温,発汗なし
筋痙攣一過性有痛性の痙攣時に有痛性痙攣ほとんどなし
その他眩暈,嘔気,嘔吐,脱力低Na血症,
嘔気,嘔吐,
腹痛
血圧正常~軽度低下,
嘔気,脱水,頻呼吸,嘔吐
頻呼吸,頻脈,
呼吸・循環・腎・肝の障害,
DIC,低血圧,悪心,嘔吐,
下痢,腎不全(横紋筋融解,脱水などによる),
肝不全

(Schwatz GR et al ed: Principles and Practice of Emergency Medicine.vol Ⅱ,WB Saunders,1986;1614より引用改変)

 表のように体温上昇を伴わない日射病、熱痙攣と、著名な体温上昇を伴う熱疲労、熱射病に分類されます。
 体温上昇が著名であれば、循環血液量の減少やNa欠乏性脱水の程度が強く、うつ熱・体温調節障害による多臓器障害を合併し、予後不良となることもあります。尚、体温は血液温に近い深部体温を測定します。一般的な腋窩温は、深部温より0.5~1.0℃低めです。

 次の表は日本神経救急学会熱中症検討委員会がが提唱(2001)した熱中症の新分類です。

新分類相当する従来の病態ないし分類重症度治療
Ⅰ度熱失神 熱痙攣軽症水分摂取(経口または輸液)
Ⅱ度熱疲労中等症輸液
Ⅲ度熱射病 狭義の熱中症重症厳重な管理と治療

 体温上昇がなければ、予後良好なことが多いですが、体温上昇が著名であれば、循環血液量の減少やNa欠乏性脱水の程度が強く、うつ熱・体温調節障害による多臓器障害を合併し、予後不良ことが多くなります。Ⅲ度(熱射病)、およびⅢ度とⅡ度(熱疲労)との境界レベルの患者さんは、救急救命センターなど、高次医療機関に早期に転送されることも良くあることです。

以下は 日本赤十字社のHPに書かれている緊急時の手当てです。

  • 風通しが良い日陰や冷房の効いた所に運び、衣類をゆるめて楽にします。
  • 本人が楽な体位にしますが、顔面が蒼白で脈が弱いときには、足を高くした体位にします。
  • 意識があり、吐き気や嘔吐などがなければ、水分補給をさせます。スポーツ飲料(塩分が含まれている)か、薄い食塩水などを飲ませます。
  • 皮膚の温度が高いときには、水で全身の皮膚をぬらし、あおいで風を送り体温を下げます。
  • 皮膚が冷たかったり、震えがあるときには、乾いたタオルなどで皮膚をマッサージします。
    ・このような手当をしても、熱痙攣や熱疲労の症状がおさまらないときは、できるだけ早く医師の診療を受けさせます。
  • 熱射病の症状があるときは、急いで医療機関に搬送します。
  • 意識がないときは、一次救命処置の手順により手当を行います。

また、最近では日常生活下においても熱中症がみられるケースが増えてきています。特に高齢者で多くみられ、下記の理由が挙げられています。

高齢者の熱中症のリスクとなる特徴。

  • 体温調節機能の低下(皮膚血流増加反応の低下および発汗の減少、体内水分量の減少、口渇感の鈍化による水分摂取量の減少)
  • 頻尿や失禁を嫌って水分摂取を減らす
  • 心不全などの疾患管理目的の水分制限や利尿薬内服
  • 認知症や脳血管障害に伴う摂食嚥下障害や身体障害
  • 介護者の不在(独居や老老介護家庭)
  • 空調設備の不備
           ~など

 元来、日本は空調に頼らず涼をとる習慣があり、日中は冷房を使用しても、夜間は消して寝ることが多い。しかし、近年夜間も気温が高く、住居の高気密・高断熱化が進んで、夜間でも室温が30℃に達する場合が少なくありません。自宅内でも決して安心ではないのです。